ふたたびカリキュラマシーン

 『カリキュラマシーン』のシュールな会話のみで成り立っている「「た」を探す男」や、「院長先生と女医の話」などのコントは、どこか筒井康隆の短編を彷彿とさせる。


 子どもの頃に、『カリキュラマシーン』のシュールさを理解していたとは考えにくいが、この奇妙な感じに馴染んでいたからこそ、後に何の抵抗もなくすんなり筒井ワールドを堪能できたのではないだろうか。などと思っていたら急に『走る取的』が読みたくなった。75年の作品であるが、初めて読んだのはそれから10年以上後である。
 テレビや映画だと、30年も前の作品であればすぐに「昔の」とか「古きよき」と括られてしまう。だが、面白いものは面白く、いいものはいい。筒井康隆の名短編群を、いちいち発表年を気にかけて「古きよき」と感じながら読んだりはしないのである。