妖精キャンティとズッコ

 『アニメヒロイン画報』(竹書房)をパラパラめくっていたら、腹が幼児のようにぽっこり出た、黄色い髪とシッポの、得体の知れぬ小さな女の子が片隅でオーラを発していて、すかさず昔に引っぱり込んでくれた。


 『アンデルセン物語』(1971年)の進行役、妖精キャンティだった。
 そして、もっと吸引力が強烈なのは、相棒のズッコの方だった。キャンティよりさらに妙なあずき色の生き物に見えるが、ズッコだ、と思い出した途端、「ズッコ、ズッコ、ズッコ、ズッコ、ズッコ、ズッコズ……ズッコのズは図々しいのズ、ずる賢いのズ……ずいぶん悪い顔のズ、だからどうした?……」とズッコの歌が流れ出した。
 作詞はまたも脱帽の、井上ひさし・山元謙久。
 『ひみつのアッコちゃん』の「スキ、スキ、スキ、スキ……」を彷彿とさせるが、人間の記憶にとどまらせるこの強引なまでの詞の力はいったい何なのだろうか。