寺内貫太郎一家

 梶芽衣子といえば、『修羅雪姫』を見るまでは、『寺内貫太郎一家』(1974年、脚本:向田邦子)のシーちゃんだった。

 
 貫太郎の長女の寺内静江で、芯の強い美人だが、地味で口数も少ない。貫太郎の仕事場で遊んでいて、石で怪我をしたために左足を引きずっている。
 『寺貫』と『修羅雪姫』はほぼ同じ時期の作品であるので、この頃の梶芽衣子は超人気女優だったのだろう。昔のものを見る場合、そういう生の空気が感じられないのがちょっと残念である。

 
 この『寺貫』には、小料理屋でいつも一人杯を舐める倉田さん(おかみと訳あり)という役で若き横尾忠則が出ていて(ほとんどセリフはないが)、最近になってCSの再放送を見たときはこれが一番の嬉しい驚きだった。オープニングに使われている横尾忠則のイラスト(出演者の似顔絵)はもちろん素晴らしい。