男たちの旅路

 日本映画専門チャンネル男たちの旅路』(脚本:山田太一)第一部最終回。
 やはり面白い、面白すぎる。


 昔のドラマばかり見て、こんなに面白がっているだけでいいはずはない。現に山田氏自身、『シナリオ入門』(別冊宝島1001)のインタビューで、いまの世界にもドラマはいっぱいある、丁寧に本気で書けば面白い話ができると答えている。
 だが、そうであるとしても山田太一脚本は確固として面白いのだからどうしようもない。

 
 ラスト近く、鶴田浩二が新人ガードマンと向き合い、かつて特攻隊員であった自分の体験、それにまつわる友情・恋愛話を、相手に対して誠実に丁寧に語ってゆく、いわゆる「山田節」全開場面は、よそ見している人間をも振り向かせ、否が応でも画面に引き込む力を持つ。
 番組視聴率もよくシリーズ化されたのも当然である。脚本家にもシリーズを持たせよう(脚本家の名前を掲げたドラマのさきがけ)と依頼したプロデューサーの川口幹夫(その後NHK会長)は今考えるとすごい。
 ちなみに氏は前回書いた「夢であいましょう」でもディレクターとして関わっている。