BSアニメ夜話

 NHK BS2『BSアニメ夜話』4夜連続。
 久しぶりに面白い番組をリアルタイムで見た。録画したものをまたすぐに見た。面白すぎる。
 とくに第2夜の『カリオストロの城』と第3夜の『あしたのジョー』がよかった。


 宮崎アニメの最高傑作『カリオストロの城』を語る大地丙太郎監督に大いに共感する。「普通に面白い。日本のアニメはこれだけでいい」と言い切ってしまう大地監督。本当にアニメを愛し、携わっている作り手の誠実さを感じ、その控えめで真摯な自己主張に落涙しそうになる。


 唐沢俊一氏の明快な解説にもそのつど納得。何のメッセージもなく、ストーリーが破綻していても『カリオストロの城』はここまで面白い、いやだからこその傑作である。番組の終わりに出演者全員がその意見に頷き、私も拍手喝采しながらうんうんと大きく頷いた。


カリオストロの城』でも『あしたのジョー』でも、出演者が皆楽しそうなところがいい。内容が詳しすぎついていけないところがあっても、本当に楽しんでいる人達からは、見ている者にもその楽しさが必ず伝わってくる。
 『あしたのジョー』の回のゲストなど、はっきり言って3人全員が変なおじさんであるが、憎いほど羨ましい楽しげな雰囲気に満ちていて、華のない娯楽番組として奇跡的に成功している。
 今、中年のおじさん達の中で、自分が楽しめる世界をほんとうにわかっていて、楽しみ方も心得ていて、精神の贅沢さを享受しているのはこういうおじさんだけなのではないだろうか。