社長行状記

 日本映画専門チャンネル『社長行状記』(1966年、監督:松林宗恵)。
 1958年から始まった森繁の「社長シリーズ」の1本。
 小林桂樹(お馴染みの振り回され秘書)、加東大介三木のり平フランキー堺(ロシア帽?をかぶったパリの「チ・オール」日本支社長)と、そうそうたる顔ぶれ。当時は役者もできる喜劇人の層も厚かった。



 監督の松林宗恵は、1970年まで「社長シリーズ」を23本も担当している。12年の間に23本だから、年間約2本、他に戦争映画も平行して作っているので、監督の仕事量としてはべらぼうである。
だが彼に限らず昭和以前に生まれた監督は、今では考えられないくらいのペースで仕事をしている人が多い。



 現在との単純な比較は無意味かもしれないが、70年代くらいまでは玉石混淆ではあったが今よりずっとたくさんの娯楽映画が作られていた。
 うるさいことをあまり言われず、ちゃっちゃと多くの楽しい映画が作られていたのではないか。
 当時の生の評価はよくわからない。でも、その豊饒な娯楽作品の恩恵を、喜劇・娯楽好きの人々は(もちろん私も)今多分に受けているのは確かだ。