早春スケッチブック

 フジテレビ721で『早春スケッチブック』(1983年)。山田太一脚本の数あるドラマの中で、私にとってはこれがベスト。
 山崎努が吐く「ありきたりめ!!」に心底感動した人は少なくないと思う。浪人中に見てしまったために、予備校生役の鶴見辰吾への感情移入の度合いも強かった。
 普通すぎるほど普通の、つまり「ありきたり」な父親役の河原崎長一郎(信用金庫勤務)が自分の父親にも重なって、山崎努にののしられると溜飲が下がった。そして、脚本『早春スケッチブック』のあとがきにある山田太一の文章を読んで涙し、山田太一は天才だと思い、以後「山田ドラマ」の魔力にとり憑かれてしまったのでした。