向田コトバ

 「共白髪」「板の間稼ぎ」「ねえちゃんばあちゃん」
 これらはみな、向田邦子脚本のドラマで知った言葉である。
 今はもうほとんど使われていないが、死語ではなく、言葉の響きから朧気ながら意味がわかる。
 その上、これが向田邦子のすごいところだが、自分でもその言葉を使ってみたくなるのである。
 『時間ですよ』や『ムー』などのバラエティの中でも、さらっとこういう言葉選びがされていて、他の脚本家と交代で書いている場合も、「向田邦子脚本の回」を判断する基準の一つになり、さらに、そこに漂う独特のユーモアを楽しむことができるのである。