ふたたび田宮二郎

 田宮二郎がいいのは、どんな人物なのかわからないところである。冷酷そうなのに、妙なところで意表をついた笑顔を見せたりして、その怖さを秘めたわからなさがいい。
 『高原へいらっしゃい』でも『知らない同士』でも、そういう魅力が発揮されている。役柄としても、俳優としても、私生活や「素の状態」を見せない俳優が断然よい。面白くもない「自分の気持ちや内面」を主人公が語り出すと、途端に話は興ざめる。